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武藤記念講座(講演会事業)

記念講座の記録

2009年6月20日(土)

政策研究大学院大学教授 小松正之氏
「どうなる鯨とさかな」(於大阪武藤記念ホール)

世界の漁獲量は半世紀前から八倍に伸びたが、需要量の高まりが大きく、まだ供給不足の状態で、各国が争奪戦に入っている。特に世界一の水産国家だった日本の衰退が続いており、ピークからその漁獲量は半分となり、自給率も60%強まで落ち込み、不足分が輸入で追いつかない状態である。日本の漁業者は幼魚まで乱獲し、その結果漁獲量が減少して、魚体も小型化し、味が悪くなり、「資源を悪く」しているが、乱獲の背景は漁業の民主化のために制定された「漁業法と水産業協同組合法」が60年間改定されず、漁業権の民主化により補償金などが利権化して、水産資源管理がなされていないからである。

教授は水産資源は国民共有の財産であり、科学的根拠による漁獲量の上限を決めて、各漁業者に、個別漁獲割当をあたえて、「資源をもどす(回復させる)」ことをしなければならないとされ、漁業協同組合を広く地域社会などに開放して、定置網や養殖業の漁業権を意欲のある企業や個人にあらたに与えるべきとされ、財政支出も漁港整備などの公共事業から、資源を守る対策に力点を移すべきであると提言された。

一方鯨は日本の食文化であったが、商業捕鯨は1982年にモラトリアムとなり、日本は88年から商業捕鯨の中断を余儀なくされたので、94年以降は生態系調査を目的とする調査捕鯨の充実を国家の路線とし、併せて持続的捕鯨の再開を要求している。然し科学に基づく海洋生態系の厳密な調査をせずに、かわいく、かしこい、聖なるもの、ウォッチングなどの理由で、鯨の捕獲を禁止している反捕鯨国に押されている。
日本は、南氷洋捕鯨をあきらめ、かつ、調査捕鯨も全面撤退の取引の交渉中である。然し捕鯨の将来像を明らかにせず、譲ることの暫定合意が目的化している。販売が禁止される沿岸捕鯨を押し付けられ、南氷洋の撤退と沿岸調査捕鯨もやめることは国益に反するものである。
日本としては@排他的経済水域200海里内の沿岸捕鯨は自国の責任で自主的に開始すべきであり、A商業捕鯨のモラトリアムは、国際裁判に持ち込み、IWCの異常性を判断させB南氷洋の調査捕鯨の充実で、国際貢献を果たすことが国益となり、又世界の全体利益へ貢献するものである。

以上

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