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武藤記念講座(講演会事業)

記念講座の記録

2011年1月29日(土)

京都大学大学院教授 中西輝政氏
「内憂外患の日本をどう立て直すか」(於大阪武藤記念ホール)

「内憂」

「先の見えない政治経済の混迷」
経済の先行き不安にも増して、政治的能力とリーダーシップの欠如、稚拙な政権運営により、現内閣はネズミが沈没する船から逃げるように支持率が下がっており、春にはまたぞろ首相の表紙の張替えになるのではないか。

「政治の貧困は万年改革の繰返しにある」
日本の政治の貧困は、そもそも二大政党の小選挙制度と政治資金制度のコンセプトが間違っていたことから来ている。即ち過去20年もの間の「政治改革」が失敗し続けてきたのは構造的要因に手をつけず、出来るものだけに手をつけてきた出来損ないの「万年改革」であったからである。行政、財政、社会保障、教育、経済構造の平成の諸改革すべてに同じことがいえる。そもそも改革は一瞬に行うべきであり、政治システムの「見直し改革」へ悔い改める覚悟が必要である。あるべき姿へ改めるのに「はばかることなかれ」である。

「財政破綻懸念と経済の活力低下も問題である」
米国も財政が悪化して日本の仲間となって来たが、日本の状況は米国のみならず世界の他の諸国に比較してもはるかに厳しいのに、抜本的な改革がいまだなされていない。また米国流の株主代表訴訟、コーポレートガバナンス制度、時価会計等の導入による間違った改革により、日本の企業はリスクをとらず目先の利益のことしか考えなくなり、その活力を失っている。

「外患」

「外交・安全の根本に問題あり」
対外膨張政策を加速する中国に加え、ロシア・北朝鮮の策動も深刻さを増し、日本は何をやっても反応しない国であると見られている。米国も日本を対等の同盟国と見ず、一人前のプレイヤーと看做していない。日本の外交・安保の根本に問題があるのではないか。

「中国認識を改めよ」
さて中国は「大国」ではなく四方を北はロシア、西はイスラム、南はインド、東は米国と日本に「囲まれた中の国」である。然し日本人は孔子や孟子等の中華文明に幻惑され、又自虐史観に呪縛され、「行きはよいよい、帰りは怖い中国市場の怖さ」に気がついていない。 即ち国家体制がナチスに匹敵する人民解放軍の支配する共産党一党独裁であることのみならず、そもそも中国人の思考様式は、日本人のように「真実、誠実、事実」に重きを置くのではなく「謀略と偽装と捏造」をお家芸としている。従って「人質外交、スパイ、秘密工作」に日本人が驚いていることに、びっくりするとベトナムの人に言われたことがある。その考え方は事実に基づくのではなく、かくあるべしとの「教条」を重視するものである。例えば義理を大切にするが義理は役に立つ目的を達成するためにあり、さらに最後に裏切るために義理を勉強するのである。

「中国は経済から政治の季節に」
中国は経済の季節から政治の季節に入るだろう。ステルス戦闘機の実験に成功し、北朝鮮の羅津港を租借して東シナ海のみならず日本海を自国の艦隊が支配する海にしようとしている。そして2015年には5隻もの空母を実戦配備して、極東における米中軍事バランスを逆転させ、米国のプレゼンスをなくし、「その軍事的脅威によりアジア各国の外交を優位に進める」中国外交の基本路線を確立するだろう。つまり中国は日米を分断し日本を属国化しようとしているので、日本の取るべき手段は大幅な防衛力強化しかない。即ち大切なことは、軍備は脅しの道具であると認識することである。まさに孫子の兵法は戦わずして勝つべしと言っている。

「日本の建て直し」

「建て直しの根源は日本人の精神」
日本の建て直しのための根源は日本人の精神と価値観にあり、国家体制としては憲法と教育と正しい歴史認識を取り戻すことに目覚めることである。特に教育については将来を担う若い人達を、インターネットでゲームに興じさせるのではなく、読書により正しい人生観と職業観を持たせるよう導くことは、我々大人の責務である。

「自分のことは自分で守る覚悟を」
尖閣が占領されても、1日に100人もの戦死者が出るであろう自衛隊出動を決断できる政治家が、懐メロ的軍国主義の復活の非難のなかで、果たしているのか? 政府が機能せず「国まさに荒れなんとする」ので、自分のことは自分で守るよう、逃げずに覚悟することが大切である。まさに吉田松陰に見習うことになる。

「最大限目標と最小限目標」
そして覚悟した以上は、理想と現実をよくわきまえて、時間はかかるが、憲法改正をして軍備を有する普通の国になる「最大限目標」を持ち、その達成のために客観的合理性をもって、今はここへ行くとの「最小限目標」を火事場の論理で達成するしかない。例えば、民主党だけに任せておくのではなく、連立を組み、消費税率を上げて社会保障だけでなく軍事費にも使うべきだ。その覚悟はまさに絶望から始まるのである。

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