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武藤記念講座(講演会事業)

記念講座の記録(要旨)

2012年9月29日(日)

評論家 金美齢氏
「モラルのメルトダウン 元凶はメディア」  
東京講演会(於国際文化会館)

「はじめに」
  「私は日本国民とは言わない、世界市民である。」と菅直人前首相は言ったが、國民會館は、メディアによる「市民」ばやりの中で「國民」と云う名を貫き「日本のためにどうあるべきか、どう考えるべきか」についてその立ち位置を崩さなかったことは、評価されるべきである。

Tメディア界へ私の背を押してくれた天・地・人

1.「天の時」
  偶然の事象が重なりあう中で、天の時、地の利、人の和の三つの条件が揃って、始めて「ことは成る」ものである。私は大阪の読売テレビの「たかじんのそこまで言って委員会」の番組に準レギュラーで出演している。 この番組は全国ネットで放送されている人気番組であるが、東京で放映されない理由は、テレビ局による自己規制が、意識的・無意識的に少なからず始まるであろうからである。私がなぜこの番組に出演できたのか、それはブラジルマインドで日本的なものの考え方をしない番組プロデューサーが、 「前例がない番組を作ろう」と、フレッシュな出演メンバーを探していたからであった。そして次に述べる「地の利」と「人の和」が、私に用意されていたから、「天の時」がテレビに出るチャンスを与えてくれたのであった。

2.「地の利」
  私が来日したばかりの1960年代は、台湾出身というだけで種々デメリットがあった。然しすべては「コインの裏表」と考え、デメリットをプラスに変えようと思った。即ち私は、バックグラウンドとしての中国語、台湾語、英語の語学の力のみならず、日本と違う文化と歴史、及び蒋介石の一党独裁の苦しみを知っている強みがあると考えた。従って早大の安保反対の学生運動のるつぼのなかで、アウトサイダーとして当時の日本の社会を客観的に観察し行動出来たことが、番組出演の「地の利」となった。


3.「人の和」
  番組プロデューサーは、私を「この人は面白そうだ」と思ってくれていたが、たまたま彼のディレクターの中に私の早大時代の教え子がいて私を「面白い」と推挙してくれたのであった。世の中に面白い人は沢山いるが、面白いというだけで選ばれるものではない。彼は私が非常に真面目に教えていたことを評価してくれたのであった。人の評価は日頃から自分がどのように生き、人間関係を作り、それを積み重ねていくかによって培われるものであり、蒔いた種が計算づくで成長できるものではない。母校早大のキャンバスで10年間学士、修士、博士課程で学ばせてもらったあと、さらに20数年間非常に安い給料で 非常勤講師としてお礼奉公をして若い人たちとのつながり、つまり「人の和」を築くことが出来た。

U日本のメディアの三つの大罪

1.「大国におもねるメディア」
  日中友好のためにと中国の言いなりになり、北京に支局を開くには台湾と縁を切れと言われてそれに従った朝日新聞は悪いメディアの典型である。それにもかかわらず、沢山の日本人が同紙を読んでいることは、恥ずかしいことであるのみならず、日本をますます悪くしているのである。一方中国へ中国へと皆がなびいていた時代に、台湾に支局を開いたために、北京に支局を開くことが出来なかった産経新聞は、ときどき変なことを書くが、それも許される範囲内であり、まあよいメディアである。

2.「ノイジーマイノリティーのメディア」
  60年の安保闘争において学生を煽ったのは朝日新聞であり、まさにメディアが元凶であったことを私は目の当たりに体験出来た。国会でデモ隊に取り囲まれながら、首相官邸で頑張った岸首相は「サイレント・マジョリティー(多数の声なき声)」の安保賛成者がいると言った。
  然し日本の当時のマスコミは安保反対の偏狭なノイジー・マイノリティー(うるさい少数派)の主張をどんどん拡張・拡大していった。従ってサイレント・マジョリティーでは駄目で、日本国民は、はっきり安保は賛成と言わなければならなかったのである。
  日本社会の問題点は、それは違うのではないかと思っても、サイレント(無言)でいることであり、その結果重要な問題が黙って見過ごされてきたことである。即ち黙っていることは、今起こっていることを追認することであり、無責任と同じことである。まともに日本を愛している人が声をあげないことが一番の問題である。

3.「ポピュリズムのメディア」
  あの三宅久之さんでも、一度は民主党にやらせてみようと言われた。然し私はメディアが民主党に熱狂している時も、最初から「民主党はノー」と言い続けて来た。なぜならば、政治家としてはアマチュアで、かつ国家観がない人達に国は任せられないと思ったからである。自然科学ならば実験は何回やってもよいが、国政で実験することは許されないのである。
  国民の生活が第一は誰でも願うことだろう、然し「国家が安全、国が豊か」でなくて、国民の生活は決して豊かにならないのである。国の庇護のもとに、ぬくぬくと生きて来た日本人には、さまよえるオランダ人、台湾人が国を失う苦しみは、分からないだろう。世界市民としてのパスポートはないのである。私は入国後バスポートが切れたのに、滞在を許してくれた日本国に、大変恩義を感じており、早大にだけでなく、日本国にお礼奉公している。
  又転向を繰り返すロイヤリティーのない人を私は評価しない。59歳でテレビに初デビューして以来私の言論人としての主張は一貫してなんら変わっていない。その為最初は降板されてばかりいた。然し最近では評価されるようになったのは、私の言ったことが全部正しかったことが、のちに順次証明されたからである。私は言いたいことがあるから出演しているのであり、テレビに出してもらうために発言しているのではない。又私は一貫して日本にとっての台湾の大切さを強く訴えて来たが、あの東北大震災のときに、世界中の他の国の義捐金の合計よりも、多くの義捐金を台湾が贈ってくれたことで、それも証明された。

Vここまで堕ちたモラルのメルトダウン救うには

1.「しっかりと現状認識をしよう」
  国連やG8で日本の首相に求められるのは、確固とした国家観の上に立ち、各国首相と英語でやりとり出来る教養と、国益を守る覚悟と勇気それを実践する能力である。然し過日のガラガラの国連総会で演説した日本の首相の存在感のなさは何だろう。かかる首相しか選べないのは、国民のモラルのメルトダウンが根底にあるからではないか。
  そのメルトダウンとは、近隣諸国から侵略されているのに抑止力の大切さが分らず、どの国の歴史にも光と影があり、特に日本は光の部分の多い国なのに、その光の部分に対して愛国心がないうえに国旗も国歌も大事にせず、特に一番の問題は「権利だけ主張して義務を果たさない人」を沢山育ててしまったことである。
  以上の元凶は、日本は悪い国であると刷り込んだ日教組の「教育」、その教育の第一歩である親の「家庭」教育、そして何よりも「メディア」が日本は悪い国、悪い国と刷り込んだことから来ている。これで若者が自信と誇りをもって生きていけるだろうか、自信と誇りを持たないと、人間は決して幸せにはならないのである。親を愛さない子供、国を愛さない国民も決して幸せにはなれる筈がない。

2.「しっかりと一人一人がものごとを考えよう」
  諸刃の剣のメディアに流されないで、一人でも多くの人が、「この国のかたち」がどうあるべきかを真剣に皆で考えねばならないと思い、私は若い人を集めて美齢塾を始めた。 そこでは、日本の国のことを考える「公」と共に、各人の生活の「私」のバランスを大切に考えている。
  超少子高齢化時代を迎えているが、ばらまきでは、人は国が何とかしてくれるだろうと何も考えなくなる。78歳だから言えるのだが、自立できない年寄りはほどほどの時にお引取り願うことも必要なのではないか。そしてむしろ老人は国のためにお礼奉公をしなければならないのではないか。
  又在日外国人参政権に賛成する人たちは、参政権を与えると選挙の際、ルサンチマンである外国人に媚びなければならない結果になることを、全然考えていないのである。

3.「しっかりとした国のリーダーを選ぼう」
  安倍晋三氏が首相在任中に日本のためにやり遂げたことを評価せず、異常なバッシングをした朝日新聞は、安倍氏の葬式を出すとまで言った。その時私はメディアに惑わされず、日本社会を再チャレンジ可能な社会にする、との彼の持論を自ら実践して、10年後に「再チャレンジ」するべしと書いた。然し5年後に天の時が舞い降りて再登板できた。この目まぐるしく動く世の中で天の時は10年も待てなかったのである。そして彼に天・地・人の「地の利」と「人の和」があったからこそ、「天の時」を招き寄せることが出来たのである。
  彼は地獄を見て、自分の償いをしようと立ち上がり、ひと回りもふた回りも大きくなった。彼は威張らないし、謙虚過ぎて困る位だが、冗談も言えるようになった。又彼は決して人を裏切らず誠意があり、大国におもねず小国を侮ることがない。そして人間としての品格があり、確固とした国家観と信念があり、メディアと戦う勇気がある。
  勿論彼にも欠点はある。然しそれは「コインの裏表」であって長所が残ればよい。メディアに惑わされず、総合点として何が出来るかを期待するべきである。私はこの9月、安倍氏再選のために努力して忙しかったが、自分で考え、願ったことが、素晴らしい結果を生んで、しかもそれが自分のためでなく、日本のためになると考えると、こんなに嬉しいことはかつてなかったのである。


質疑応答

「質問1」 

  ご承知の泥沼の状況になってきている日中関係であるが、日本は、いつかは折れ なくてはならないのか、それとも最後までがんばるべきか?

「回答」

  折れるとはむなしい。私は、「中国はこういうカードを必ず切ってくる。リスクは 必ず起こることを、最初から覚悟しておかなくてはならない」と常々言ってきた。日本人は本来こういう緊張感に耐えられない民族である。然しその緊張感にど れだれ耐え抜けられるかにこの問題の解決はかかっているのである。何故ならば 実は日本だけがマイナスを被るのではなく、中国も大きな痛手を被るからである。 今の政権にその対応力はとても望めないので、一刻も早く政権交代するべきだ。


「質問2」

  日本の少子高齢化、原発問題、年金問題等の諸問題の解決には新しい政党が必要 なのではないか?

「回答」

  私はそう思わない。戦後、日本は自民党政権でなければ、即ち社会党が本当に政 権を握っていたら、ソ連のようになり崩壊していただろう。自民党は確かに欠点 だらけであるが、自由主義と民主主義しかないのである。ちょっと出の小数政党 に日本という複雑な価値観や多種多様な考え方を持つ国のリーダーは任せられな い。



「質問3」

  25歳に台湾を離れる時に、なぜ日本がよく、早稲田がよかったのか

「回答」

  私の考えは米国人の考えに近いので、本当は日本に来て、さらに米国に行きたか ったので、日本は第二選択だった。大学も早稲田でなく慶應でもよかった。 すべては偶然で、天の時の采配であった

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