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武藤記念講座(講演会事業)

記念講座の記録(要旨)

2013年4月6日(土)

京都大学名誉教授 中西輝政氏
「この国をいかに守るか―国家安全保障体制の確立をめざして」  
 大阪 「武藤記念ホール」

第1章 アベノミクスの先にある大テーマ、憲法改正

  我々は花も嵐も踏み越えて、日本を根本から建て直すべく、思い切った国づくりに取り組む重大な曲がり角に立っている。その一番のテーマは国家安全保障体制確立のための憲法改正である。安倍首相はアベノミクスとTTPを先ず打ち出したが、憲法改正の課題に比べれば二の次、三の次の課題である。勿論日本の経済が大きく浮上すればそれに越したことはないが、それらは安全保障体制の確立のために、選挙に勝ち政権基盤を固めるのに必要な前提条件と位置づけるべきだ。

第2章 なぜ憲法改正なのか?

1.「現在の近隣三カ国からの脅威は只事ではない」
1)「中国」は尖閣が「核心的利益」であると宣言しており、習近平のライフワークは尖閣を中国の領土とすることである。なぜならば軍部を掌握する彼は胡錦濤との権力闘争を尖閣問題への対処の仕方で勝利したからである。そのため就任早々に国家海洋局の機能を一本化して強化した。さらに沖縄に触手を伸ばそうと対日工作を開始しているが、その目的は沖縄の軍事基地を機能麻痺に陥れ、米国が軍事費の制約から徐々 にその力を落としていくのを待ちながら、日米分断を図ることにある。そして米・中間でなんらかの取引が行われたのちに、米国が領土問題は二国間で話し合うべきと日本を突き放すことを狙っている。その間にも、漁船の領海侵犯は常態化し、日本の公船に体当たりを繰り返し、レーダー照射に見られた通りぎりぎりの勝負を仕掛けて、盧溝橋の時と同じようにぐいぐい尖閣に突っ込んで来るだろう。
2) 「北朝鮮」は核保有国の地位を固め、激烈な挑発言動を行うのみならず朝鮮戦争の休戦協定を破棄し、3千キロの射程距離のミサイルを予告なしで発射するかもしれない程にエスカレートしている。日本は既に北朝鮮の核攻撃の射程範囲に入っているのに能天気であるが、米国は今回の発射実験により、ミサイルが自国まで届くことに対して、日本と違い冷戦終結以来の軍事シフトを敷いている。日本へのミサイルは天皇 が長くましました古都京都を狙うかも知れない。朝鮮労働党は日本軍国主義の源は天皇と明言しており、天皇の処刑を主張して来た。
  中国の改革開放は米中接近により行われたが、米国は今更北朝鮮に対して改革開放を支援する筈がなく中国もそれを許さないだろう。核脅威が自分の身に降りかかっている米国の選択肢は、平和条約を結んで国交を樹立するか、金ファミリーを除去するか、あるいは経済制裁で強く締め上げて国内に反乱を起こさせるかであろうが、国連安保理での全会一致の制裁決議からすれば米国は甘い顔が出来ないだろう。
  然しもっとカメラを引いて見るならば、今回の北朝鮮の冒険主義を陰で演出したのは、日本から核心的利益である尖閣を奪おうとしている習近平ではなかろうか。即ち日米を北にかかりっきりにさせたうえで、米国におとしまえをつけ、尖閣問題の棚上げ論を飲ませようとすることは十分考えられる。然し「外国にはあらゆる手を使って欺瞞するに如かず」との共産国家特有の欺瞞外交にだまされてはならない。彼らの情報は疑い疑って三回位チェックしなければならない。
3)「韓国」はこの危機の最中に著しい軍事力の増強を行っている。米国から日本がすべて射程距離内に入る1500キロの弾道ミサイルを作るのを許され、さらに大型潜水艦を調達し、4.5世代の戦闘機を購入、巡航ミサイルも有して、日本を凌駕する軍事大国への道を歩んでいる。この状況では韓国との間で軍縮交渉も必要になり、その為には難しい連立方程式を解かねばならないだろう。さらに対馬は韓国の領土であると中国をして言わしめている。

2.「諸国民の公正と信義に国の安全を任せる」ことの愚かな幻想
  憲法9条及び前文の「諸国民の公正と信義に信頼して安全と生命を保持する」との規定がある限り、国家安全保障体制のまともな制度設計は出来ない。対内・対外の本格的「情報機関(インテリジェンス)活動」を確立することは、そもそも近代国家に要求される必須要件である。然るに外務省・防衛省・警察庁等の役人達の、例えば中国や北朝鮮による悪意を持った活動に対する情報活動への取組姿勢の根底には、 国の安全は他国の公正と信義に基づかねばならないとのトラウマがあることは否めない。さらに最悪のシナリオの検討を行うことについては、憲法の精神に反するとの認識すら彼らの発言から窺われるのである。彼らは(押付け憲法であることを否定し、戦後の憲法学会をリードした)憲法学者の宮沢俊義氏と土井たか子氏に代を継いで吹き込まれた学説をいまだに後生大事にしている訳である。以上から、現下において情報活動は総理主導で行われるべきである。又実際の先制攻撃を受けた場合においても、ぼろぼろになるまで反撃ができず、防衛活動が指令されるまでは戦死にならないと言うおかしなことになっている。その結果日本は攻撃してもすぐに反撃しない、逃げるだけの国と思われている。

3.「大切な戦時国際法、その理解がなされていない日本」
  一国の法律の適用はその国の国境までであり、国家と国家の間にはお互いの法律は適用されないとの根本原理をまずしっかり頭に入れておかなければならない。そしてお互いの国境について根本的に意見が異なる場合に「戦争があっても然るべし」との段階においては、残虐な武器を使用してはならない、捕虜を殺してはならない等の厳しい制約のもとに「戦時国際法」が適用されることが認識されなくてはならない。上述のようにぎりぎりまで、ぐいぐい押して来る中国に対しては戦時国際法により対処しなくてはならないのである。
  一方武力行使を受けてから、東京に本艦は打ち返してもよいかを問い合わせるようでは話にならず、前もって「交戦規定」が用意されていなくてはならない。さらに自衛隊の防衛出動に国会の承認がいるようでは、正当防衛しか出来ない。国を守るのは本当に大変なことであり、日本人は本格的戦闘では元気が出るが、グレーゾーンの争いには弱い。然し国際社会ではグレーゾーンの争いの方が圧倒的に多いのである。国際社会に生きるには、そのようなつらさ、危うさ、ジレンマに対処できなければならない。
  尚尖閣問題は国連安保理に訴えても中国の拒否権により、国連は何の働きもできないだろう。それどころか、国連で中国は日本が尖閣を国有化したことはポツダム宣言違反であり、世界平和の敵であることを繰返し発言しているのである。又沖縄の基地反対と原発反対の運動家が同一人物であるのは中国と関係のある国際的背景があると考えられる。

第3章 憲法改正への道程はどうなるか?

1.「現憲法の無効・廃棄論について」
  憲法改正にはふたつの論議がある。ひとつは廃棄論であり、もうひとつは現行憲法の改正規定に従って改正するべきとするものである。石原慎太郎氏が主張して来た廃棄論は、占領軍が占領中に占領地の国民に基本的な法制度を押付けてはならないとの国際法(ハーグ陸戦条約)に違反し、又ポツダム宣言にも違反しているとの理由で国際法的に無効とし、同時に新憲法制定が可能であるとするものである。

2.「現憲法の改正規定に則り、法治主義の連続性を保つべきである」
  然し制定以来六十何年間現憲法が最高法規として事実上有効とされて来ており、特に天皇が二代に亘って日本国憲法により象徴天皇として在位されてきたことの重み、さらにはその制定は形式的手続きであるにせよ、明治憲法の改正規定に従った法的連続性を有するものであることから、今回の改正も現憲法の改正規定に則るべきである。さらにこの法治主義の連続性は大宝律令以来の、万世一系の天皇を長とする国柄、即ち「国体」そのものであり、まさに日本の文明・文化の素晴らしいところである。更に実現性のない無効・・廃棄論にいつまでもこだわって時間を空費しては、護憲論を利するだけとなることを忘れてはならない。

3.「憲法改正に必要な両院の三分の二の確保は大丈夫か」
  現憲法の改正は、96条に拠り、衆参両議院の各総議員の三分の二以上の賛成により国会がこれを発議して、有権者の過半数の承認により成立する。6年前まではその手続法である国民投票法が制定されていなかった。然し第一次安倍内閣は参議院選挙前で支持率が下がりマスコミもこぞって反対する中で、使命感を持って言わば頭から突っ込んでそれを成立させ、憲法改正がより身近に議論できるようになっている。昨年の衆議院選挙の自民党勝利はまだ憲法改正のための序盤戦であり、愈々憲法改正が主要テーマとなるのが今年7月の参議院選挙である。多分自民党は勝利するだろうが、改憲のための三分の二の議席確保のためには、護憲政党の公明党を除けば、自民・維新・みんなの党では足りず、民主党と公明党のなかから、賛成者を結集する政界再編が必要になるのではないかと思われる。

「終わりに、強いリーダーこそ」
1.「憲法改正のためのリーダー」
  安倍首相は憲法改正のために生まれて来た。それは親のかたきであり、それが出来ないならば死んでも死に切れない程の強い覚悟を持っている。前回の参議院選挙に負けたのは全部自分の責任であると悔悟し、安倍氏から憲法改正を取ったら何も残らない程に、強いリーダーシップを発揮するだろう。
2.「国を守る強いリーダー」
  国を守ることの基本は、国益である国民の生命・財産、及び領土・領海を含む国家主権を守ることであり、政権のトップの強い意思が現場にまできちっと届くことが何よりも大切である。
3.「歴史問題を引っ張る強いリーダー」
  歴史問題については領土については中・韓に言われっぱなしである。彼らは出鱈目な事実をでっち上げて「これで行ければ儲けもの」であるとの態度で攻めてくるのである。安全と歴史はひとつである。いずれにしても現在は100年に一度あるかないかの曲がり角である。歴史を主張する日本でなければならない。

質疑応答

「質問1」 

  朝鮮民族統一の美名のもと南が北を併合すれば、北は食料が助かり、南は経済発展の足を引っ張られ、国力は落ちて日本のためによいと言う考えは如何?

「回答」

  南北統一は朝鮮民族の悲願であろう、北の悲惨な人達にとって豊かな民主主義の国になるのはよいことだし、昔ひどいことをしたと言われっばなしの日本は、隣国を善意で統一させてあげたいと考えるべきだ。日本人がどのような態度を取ったかは歴史に残ることも忘れてはならない。然し中国は分断のままの方がよいと考え、米国も半分位は今のままの方が扱いやすいという人がいるだろう。好きだからふたつという言い方もあるが、世界の国々の半分は今のままでよいと言うだろう。日本はそのコストのことも考えておかねばなるまい。統一して大きくなった韓国は核保有国となり、歴史的恨みを持った国の領土が倍になること、昔から内紛が起きやすい国であるのでそれに巻き込まれる危険性等も考慮に入れておくべきである。言い換えれば国内政治が安定し、日本や中国と良好な関係が保てる国になれるのかも考えておかねばならない。国際社会を考える視点はそう言うものである。


「質問2」

  マッカーサーは日本人を骨抜きにするために百科全書を書き直させ、日本人に読ませてはならない本を日本の全図書館から全部没収したそうだが、その総数、どのような種類の本なのか、又日本政府はなぜ返還請求をしないのか? 

「回答」

  GHQによる焚書と言われているが焼かれたのではなく今も米国英国仏国などの図書館に差押スタンプを押されて余り整理されず保管されているが、日本政府から返還請求はなされていない。占領時には検閲が行われていたが、江藤淳氏の著書によれば、特に絶対に書いてはいけないことは「マッカーサー批判、東京裁判についての批判、日本国憲法は占領軍が起草したこと、検閲制度があること」の四つであった。朝日新聞は現在もこれらに忠実に従っていることになる。没収点数は約8000点、ジャンル別では神武天皇を始めとする天皇に関する本と、古事記日本書紀等の古代史の国の根幹とアイデンティティーに関する本が多く、大東亜戦争と南洋の植民地経営等に係る本、忠臣の楠正成、仇打ちの忠臣蔵に関する本もある。


「質問3」

  NHKの偏向報道についてどう思うか?

「回答」

  深刻である。マスコミに出る大学教授は、さぞ客観的で真理の探究をしている人なのでまともな発言をしていると思われるかもしれないが、思ったことの半分も発言させてもらっていない。特にNHKは学者の世界をよく知っているので巧妙に発言を誘導している。然しNHKに出ると学会の中で力が得やすくなり、理事等になり、予算も取りやすくなるので、学者はそれに甘んじている。まさにマスコミも学者も視聴者をなめているのである。又尖閣を巡る日中の船舶の攻防も意図的に分からないように、数で迫るすべての船団を映さず、並走する船舶だけを映している。


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