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武藤記念講座(講演会事業)

記念講座の記録(要旨)

2013年6月2日(日)

白鴎大学教授 福岡政行氏氏
「今後の政治と経済の動きを読む 〜アベノミクスを検証〜」  
 東京講演会 「国際文化会館」

第1章「アベノミクスを検証する」
  はじめに 「アベコベノミクス」の始まりか?   解散して選挙が行われれば自民党が勝利して、「決められない政治」から脱却出来るとの期待感があった。その通りに9000円を切っていた株価は、昨年11月の野田総理の党首会談での解散発言とともに上昇を始め、期待通りに自民党が12月に圧勝し、公明党を合わせれば絶対多数が確保されると、以後その上昇は加速された。 株は「期待で買い、現実で売られる」が、ゴールデンウイーク前後には15000円を突破し、円も103円を越えた。然しここへ来て、一日千円を越える乱高下の調整局面に入っている。それに追い討ちをかけているのが一秒間に千回の取引が出来、瞬時に設定した利益を自動的に確保出来るスーパーコンピュータによる「フラッシュオーダーシステム」である。 この乱高下はアベノミクスの副作用なのか?長期金利の上昇もあり、「アベコベノミクス」の様相を呈し始めていないか?

第1節「お金のバラ撒きだけでうまくいくのか?」
  アベノミクスの一本目の矢の「金融緩和」はマネタリーベースを130兆円から270兆円に倍増するものであり、お金が倍になると、円は当然安くなる。確かに大企業のボーナス、給料は上昇に転じているが、中小零細企業・パート・農家の人達にまでも稼ぎは本当に上がるのか?勿論デフレからは脱却しなければならないが、簡単に金をばら撒くだけではうまくいかないのではないか?

第2節「機動的財政出動の労働者不足からのつまずき」
  二本目の矢は機動的な財政出動である。具体的には「国土強靭化計画」による10年間で、総額200兆円の財政投資である。機動的とはむやみやたらに公共事業を行うのではなく、「時に応じて迅速に」という意味だが、増額された復興予算は単年度でなく多年度にわたる使用が特別に許されているのに、災害地では予算を執行する作業員がいないことが深刻化している。これでは機動的な投資はできない。この問題が解決されれば、二本目の矢はある程度その効果を発揮するだろうが、同じく簡単ではないのではないか?

第3節「成長戦略が悪性インフレを引き起さないか?」
  問題は三本目の矢の成長戦略である。経済に元気をもたらして、所得を増やし、かつ雇用の場を作ることが出来るかがその基本課題である。例えばそのひとつである農業の「100ヘクタール」規模への集約についても、農耕民族の日本で果たしてうまくいくのか、私の現場での感覚では簡単ではないだろう。又新しい事業の資金需要も簡単に出てこないのが現状である。それは1ドル100円前後で、この日本で雇用を創出することはかなり難しいからである。成長経済がうまくいかないと、いわゆる「悪いインフレ」となり、電気料金、豆腐、バン、マクドナルドのハンバーグ等の値上げが、1950万人の非正規の労働者(契約社員・パート・アルバイト)のみならず、3200万人の正規労働者の6割を占める中小零細企業の人々の購買力を直撃するからである。 日本社会がシルバー大国になって行く中で、昭和22年から25年生まれの団塊の世代650万人の年金の満額支給が始まる。即ち人口が減少しているのに(昨年は出生103万人、死亡110万人)年金受給者が増え、支給額が毎年1.8兆円ずつ増えて行く。さらにこれから新生児が100万を切る人口減少が続くなかでは、資金需要のある新商売の起業は簡単ではない。2%のインフレターゲットは成功すると思うが、低価格の商品にも「こんなに良いものがこんなに安価」でよいのかと思う程に、アイテムも豊富なよい品物が沢山あることを忘れてはならない。「ユニ(クロ)・(ニ)トリ・ダイ(ソー)好き、アイリスも好き」という言葉があるが、これらの低価格を売り物とする企業の努力は相当なものである。一方来年消費税が3%上げられると、物価上昇は合計5%になることについて、増税見送りの選択肢が浮上している。
「閑話休題」
  安倍総理は6年前の屈辱を晴らすべく、夏の参議院選挙に勝つ為に、ありとあらゆることをやろうとしており、先ず「異次元の金融緩和」を行った。さらに財政出動のみならず、成長戦略においても画期的な政策を打ち出して来るだろう。
  然しそれらが絵に書いた餅にならなければよいがと思わざるをえない。又消費税アップを実行するか否かについては、総裁選挙で安倍氏を逆転勝利に導いた副総理との間に微妙な意見の相違が出て来たことも見逃せない。
  ピークから多少落ちたが、安倍内閣の支持率は依然高い。民主党は壊滅的、ポピュリズムの維新はもう無理、みんなの党はバラバラであるので、自民党は、過半数を取れなくても公明党と組めば、参議院のねじれは解消するだろう。然し最近の地方選挙の結果を見ても自民党の一党優位も決して油断は出来ず、日本人のバランス感覚に加え、ネット選挙の解禁も「古き悪しき自民党の圧勝」に対してあっと言う間に予想外の反発があるかもしれない。< br>

第2章「尖閣を巡る動き」
  「国際社会で孤立するか、日本?」   折りしもこのタイミングで、来週米国西海岸のサニーアイルズで米中の首脳が「新型大国会談」を行い新しい「G2」会談が誕生しようとしており、日本バッシングが懸念される。米国は安保条約により尖閣は守ると約束していたが、最近領土問題は両国で真剣に話し合ってもらいたいと考え始めているとの声も聞こえて来る。野党の党首ではあるが、ウルトラ・ストロング・ナショナリスト橋下市長の発言に対して国際社会の日本への反発も強まっている。アメリカも格差社会であるが、それを上回る中国の格差社会による国内の不満を逸らそうとする、ナショナリズムも心配である。< br>

第1節「米中関係は要ウオッチを」
  米国と中国の間はサイバーテロの問題もあり、決してウィン・ウィンではないが、最近コミュニケーションを図ろうとしている。安倍総理もかなりのストロング・ナショナリストと認識されており、米中関係で「フレネミー」という言葉が囁かれている。それはフレンドリー(友好的)とエネミー(敵対関係)の造語である。その意味するところは、軍事的には敵であるが、経済面では友好的にと云う意味である。然し米国のペンタゴンが恐れているのは北朝鮮の核とミサイルである。本当に飛んで来る確率は1割にも満たないが、先制攻撃をピンポイントで行おうとする動きがある。米国はマンハッタンの悲劇をまだ忘れてはいないのである。

第2節「尖閣は実効支配が先決」
  中国は尖閣の問題を沖縄領有にまで拡大させているが、尖閣は日本の固有領土であり、実効支配の現実を作ることが大切である。そのため先ず警察が行ってプレハブでもよいので交番を立てて、漁民を住まわせ、海上保安庁と一諸にその実効支配を守るべきである。そして不法侵入者は逮捕して、その交番に連行するべきである。このように頭を使って毅然とした態度で日本の国益を主張する戦略的外交を展開するべきであり、自衛隊の出動は最後の手段である。そのためには、中国の周辺国と包囲網外交をするよりは、中国に直に入って行き、話をすることが大切である。

第3節「中国のナショナリズムに、尖閣問題の真因がある」 
  経済界は経済的コラボレーションが必要であると云うが、気の効いた会社はすでに「南進」を進めている。むしろ困るのは日本から投資を引き揚げられ、投資が入って来なくなる中国の方である。中国の埋蔵借金はかなりの額に上っており、GDP比の借金は日本以上に多いと最近言われている。又沿岸特区は別として内陸に入ると格差が大きく様々な不平不満があり、それがナショナリズムに転嫁され、尖閣問題を引き起こしているのである。そして残念ながら、河野談話と村山談話を見直す気持ちがあると云っただけで中国からの反発があるが、橋下市長の発言がそれに輪をかけている。

第3章「質疑応答」
「質問1」 

  尖閣を米軍に久米島と同じく射爆場として使用してもらうことは如何?

「回答」

  兵士は休息して遊ぶ場所が必要である。沖縄に近いことが必要である。


「質問2」

  将来の日本の国際的地位(プレゼンス)についてどう考えるか?

「回答」

  若者はおとなしく従順になり、外国に出て行くことにも消極的になっており、国力は間違いなく劣化が始まっており、悲観的である。シルバーが教育しなければならない。


「質問3」

  アベノミクスがうまく行っても根本的に日本が危ないところに来ている。GDPを上げるための人口問題の前に、財政問題であると思うが如何?

「回答」

  財政再建のためには、消費税率を考えざるをえない。10年後には20%台が必要となろう。そして複数税率を考えるべきである。然し苦労が足らない自民党、労働組合関係の民主党も駄目なので、少数政党の優秀な人材をコラボレーションさせて、いい意味の挙国一致体制を作るべきと考えている。若者に元気がない以上、我々が頑張らねばならない。


「質問4」

  震災復興計画はバラ撒き政策であり、中長期的産業政策が何もないことが先ず第一の問題点だ。そして観光資源にならないのは当然としても、万里の長城(防波堤)は不要であり、すべてにおいて遠大な無駄と破壊である。明治29年と昭和8年の教訓が生かされず、皆危険な場所に戻ったが、戻るのだったら逃げる場所を確保することが一番大切である。   メキシコ人は米墨戦争敗北での深いコンプレックスをアメリカに対して持っていた。然し日本人もアメリカに対して物が言えない劣等感を未だに持っており、さらに現状満足でどうでもいいやとの気持ちがある。安部さんの言っている日本の「真の独立」(方法論はいろいろあるにせよ)、を国民が手助けすることが大切である。然るに総理大臣の足を引っ張って来たのは国民であった。米国が如何に圧力を かけようと結果的に意思決定するのは日本国民であるからだ。即ち「真の独立」のためには米国に対抗してディベートを仕掛ける総理大臣が欲しいが如何?現在の政治家にそのような人がいるか?

「回答」

  前段の万里の長城はその通りであり、老後は仙台に移り反対運動を続けたい。後段についてはご指摘有難い。松下政経塾で13年間国会議員となった三十数人も指導して来たが、お金をもらって勉強する奴は駄目だとの意見はその通りであるが、いくらかの期待出来る人材はいる。いずれにせよ若い政治家はご指摘の劣等感の世代ではなく、米国について行くずるさは知っているが、能天気で無神経のくせに、傷つくと弱いところが、大変気にかかるところである。

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