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武藤記念講座(講演会事業)

第982回武藤記念講座の記録(要旨)

2013年11月2日(土)

   日本大学教授
 百地 章氏

「今こそ憲法改正を! −課題と展望−」 
 大阪「武藤記念ホール」


第一章「今なぜ憲法を見直さねばならないか?」

第1節「内容のさまざまな不備・欠陥がもはや限界に」
  自然災害等の緊急・非常事態が発生し、国家が危機にさらされた場合に備え、各国とも憲法に、超法規的に国民の生命・安全・財産を保護する「緊急権」を定めているが、現行憲法にはその規定がない。
  同じく尖閣諸島を防衛し、わが国の主権と真の独立を守るため、憲法9条2項を改正して「軍隊」を保持しなければならない。さらに「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我国の安全のみならず生存までを、他国に委ねようとするおよそ独立国とは思えない前文」、「元首でない天皇」、その他政教分離、改正条項等にも重大な不備・欠陥があり、大きな問題を孕んでいる。

第2節「制定手続きにも重大な瑕疵」
  現行憲法は、GHQが「日本が再び連合国の脅威とならないよう特に非武装化を、日本弱体化のために強制」したものであって、手続的にも重大な瑕疵が存在する。それ故、わが国を「真の独立国家」として再生させるためには、憲法を抜本的に見直す必要がある。
  すなわち現日本国憲法は、マッカーサー草案に基づくものであり、衆議院総選挙に先立って政治家の公職追放が行われたうえ、帝国議会での審議はGHQの監視下に置かれ、天皇の進退も保障できないとの脅迫的とも言える状況下で、部分的にはともかく根本的修正は許されなかった。
  その結果できあがった改正案に対して、当時のわが国を代表する憲法学者、美濃部達吉博士は、ポツダム宣言で要求されている民主主義は明治憲法下でも十分復活でき、ポツダム宣言受諾の条件であった国体の護持もなされていないこと、又占領下では憲法を改正するべきではないとされて反対された。又佐々木惣一博士も天皇の権威の中心としての統治権の総覧者の地位を変えるべきではないこと、即ち無私にして国家と国民のことのみを考えられる天皇にして始めて、国家の重大事に際して正しいご決断(例えば終戦のご聖断)が出来るとの理由で反対された。尚当初は宮沢俊義教授でさえ改正不要説だった。

第3節「正しい日本の国家観と家族像の欠如」
  国家観については、次の章で述べるが、東日本大震災の折に世界が感動した、秩序正しく冷静に感謝をもって示された日本人の高い精神性と道徳性は、家族及び共同体の絆から出たものである。然し災害から時間が経つと、その精神が失われており、親が子供を虐待し、子供が親を殺す事件が頻発している。
  戦前は無私の皇室を仰ぎ、世俗基準の憲法と別に道徳基準としての教育勅語と修身があったが、戦後は個人の尊厳と両性の平等のみを絶対視して、家族の重要性をおざなりにした日本国憲法に原因がある。

第二章「憲法改正の基本的視点」

第1節「「国家」あっての憲法」
  国家には、「国民共同体としての国家」(nation)と「権力機構としての国家」(state)がある。後者は「国家」というよりも「政府」といった方がよいが、前者は政府と国民と国土を含む、歴史・文化・伝統を共有する共同体であり愛国心と国益の対象となるものである。そしてそのふたつが合わさったのが「国民国家」(nation state)である。

第2節「「憲法」とは何か?」
  憲法は国家の基本法であり「国のかたち」を法的に表現したものである。そしてそれは国家権力の行使を制限し、国民の権利と自由を守る統治ルールとしての「制限規範」と、その国家権力の行使の根拠として、その正当性を担保する国のかたち(コンスティチューション)を示す「授権規範」の両側面を有する。

第3節「憲法に「国民共同体」の概念を」
  わが国は、建国以来、皇室を国民統合の中心に戴き、2千年にわたって繁栄と発展を遂げてきた。このような「歴史的・伝統的な国民共同体」を今なお守り続けている国は、世界広しと云えども、わが国以外存在しない。それゆえ、上述の国家と憲法の定義を踏まえ、「国民国家」の国家観を憲法の中核に据えることにより、我国の誇りと自信を取り戻さねばならない。

第三章「日本国憲法改正の具体的課題」

第1節「『前文』『天皇』そして『政教分離』」
  『前文』には、国のかたち(国柄)を明記するべきである。明治憲法の前文(告文、発布の勅語、上諭)には「建国以来の歴史」「君民一体の国柄」さらに「憲法制定の目的」等が明確に示されていた。よって日本国憲法も前文を全面的に書き改め、わが国固有の歴史や伝統、独自の国柄などを明記する必要がある。又それに関連して、本文でよいので、家族は社会の自然かつ基礎的な単位であり、国はこれを保護するとするべきである。
  『天皇』については、「君主」であり「元首」であることを明記するべきである。又国事行為以外の公的行為、例えば、国会開会式におけるお言葉や、外国訪問、国体や全国植樹祭への行幸などの行為について、憲法に明文の根拠規定を設け、さらに皇室の私事・私的行為とされている「皇室祭祀」についても明記して公的行為であることを明らかにする必要がある。
  『政教分離の緩和』により、首相の靖国神社参拝等の伝統的・儀礼的宗教行為は可能とするべきである。尚そもそも「信教の自由」が目的で、政教分離はその手段である。また「政教分離」とは、「政府」と「特定宗教」との結合を禁止するだけであって、「共同体としての国家(Nation)」から「宗教(Religion)」を排除するものではない。

第2節「『防衛・安全保障』と『緊急権』」
  『防衛・安全保障』については、第9条2項を改正して、自衛隊を「軍隊」とするべきである。戦力の不保持を定めた第9条のもとでは、法制度上、自衛隊はあくまで「軍隊」ではなく、「警察組織」に過ぎないとされている。軍隊と警察の違いは主権と独立を守るのが「軍隊」で、国内の治安を守るのが「警察」である。軍隊の権限は「ネガティブ・リスト」方式で規定されており、国際法等によって禁止されていない限り、権限の行使は原則として無制限である。これに対して、警察の権限行使は、「ポジティブ・リスト」方式であり、法律に書かれていることしかできない。
  平成11年の北朝鮮工作船事件では、「撃沈」もできず、逃走を許してしまった。現在の自衛隊法の下では、外国から「武力攻撃」があった場合しか対処できない。よって中国や北朝鮮の武装民兵、武装ゲリラによる領域侵犯に効果的に対処するためには、自衛隊を「軍隊」とする必要がある。尚尖閣事件を契機に、海上保安庁法、外国船舶航行法の改正は実現した。然し現在の自衛隊法は「領空侵犯措置」のみであり、「領海・領域警備規定」は存在しないので、自衛隊法を改正して、平素から「警戒監視任務」に当たらせるとともに、「防衛出動」や「治安出動」に至らない段階から「領域警備」ができるようにする必要がある。   『緊急事態対処規定』については外国からの武力攻撃や内乱、テロ、あるいは大規模自然災害などの緊急・非常事態が発生し、国家が危機にさらされた場合に備え、各国とも憲法の中に緊急・非常事態に対処する「緊急権」を定めて一時的に権力の集中を行い、基本的人権を制約している。たとえば、フランスでは、国の独立や領土が危険にさらされた場合、大統領に非常事態措置権が認められており、ドイツでも外国から武力攻撃を受けた場合や内乱さらに大規模自然災害等に際しての緊急権が憲法に詳細に規定されている。

第3節「憲法改正条項(96条)の改正」
  日本国憲法は世界で1,2を争うほど改正条件が厳しい。ドイツでも憲法改正のためには連邦議会と連邦参議院の両院で3分の2の賛成が必要であるが、日本国憲法のように、国民投票までは要求していない(明治憲法は両院の定足数3分の2の3分の2の賛成でつまり4/9で改正可能)。改正条件が厳しすぎる結果、憲法改正は現実的に不可能となり、「憲法改正阻止条項」と化している。両議院の過半数の賛成で国会が発議し、「国民投票で過半数の賛成」があれば、憲法改正が可能となるようにすべきである。
  96条の改正の目的は、憲法改正権を国会から国民の手に取り戻し、さらに憲法をGHQによる拘束から日本人自身の手に取り戻すものである。

「『終りに』3年後の憲法改正実現に向けて」
  国会による「憲法改正の発議」は、恐らく時間の問題(衆参両院で改憲勢力が2/3を見込める)であろう。然し問題は「国民投票」である。組織的な国民運動を盛り上げて改憲勢力を結集し、3年後の同日選で憲法改正を実現することになろう。それならば保守派・改憲派の国民を総動員して投票所に向かってもらうことが出来るからである。護憲派の力を侮ってはなるまい。

「質疑応答」
質問1 

  憲法改正において自民党はどのように改憲勢力を結集するべきか?

「応答」

  参院選で改憲勢力として期待されていた維新の会が失速し、連立を組んでいるのに公明党がブレーキ役となっている。公明党の支援を受けないと選挙に勝てない自民党議員がいるからである。然し東京では強い維新の会に頑張ってもらうとともに、自民党の若手にも熱心な議員がおり、民主党にも改憲派がいるので、彼らに期待するところ大であり、公明党をけん制して欲しい。

質問2

  園遊会で天皇陛下に直訴した国会議員に対して、選挙においてマイナス票を投じるしくみが出来ないものか?

「応答」

  礼儀を失する不敬な行為である。個人の行動と言っているが、彼は国会議員である。中立であるべき皇室を政治に巻き込んでいる。厳しく処分するべきである。

質問3

  朝日新聞を見て報道しているというNHKにどう対処するべきか?

「応答」

  どしどし批判するべきである。直接電話する方法で7時のニュースが9時のニュースでは改まったことがある。民放ならばスポンサーに電話する方法もある。いずれにしても事実に基づき冷静に抗議することが大切である。

質問4

  不文法の根拠は何か?

「応答」

  歴史と伝統のある日本は明治までは不文法が中心だった。然し多民族の集まっている米国では建国時から成分法でなければ皆が納得しなかった。然し日本の首都が東京であり、公用語が日本語であるとの法律はない。同様に国旗が日の丸、国歌は君が代との法律は要らないが、その根拠は何かと日教組が言うので「国旗及び国歌に関する法律」が制定された。井上毅は明治憲法の前文に古事記・日本書紀の精髄を盛り込んだが、それは慣習法・不文法を承継したものある。

質問5

  憲法破棄論についてどう考えるか?

「応答」

  心情的には破棄したいが、破棄した場合発布以来のこれまでの法律及びそれに基づく行為がすべて無効となり収拾がつかなくなり大混乱となる。法律論的には、憲法改正には限界説と無限界説がある。家の建替えに例えれば、前者は部分的改築であり、後者は新築である。現行憲法は明治憲法をその改正手続きによって全面的に改定したので、無限界説に立てば問題ない。然し限界説に立てば許されないので、現行憲法は八月革命により成立したことになる。然し当問題は入口論にこだわらず、中身論で行くべきである。

質問6

  今の憲法は翻訳まるだしでおよそ日本語でない。朗々と声に出して読める憲法を作っていただきたい。又GHQが草案を作る際、法律学者は一人もおらず、タイピストまで条文作りに動員したと聞いている。

「応答」

  そのために産経の「国民の憲法」を作ったので読んでいただきたい。尚21名のスタッフには優秀な弁護士もいた。然し問題は、彼等が日本の歴史と伝統を知らずに作り、さらにそれが翻訳されたので、いい文章でなくなった。

質問7

  宮沢俊義氏、横田喜三郎氏を法律界から追放できないか?

「応答」

  お二人とも故人ではあるが、学者としては正当に評価しなければならない。宮沢氏は、昭和の初めには「万世一系の天皇は非科学的」であるとしていたのに、昭和17年には「古事記・日本書紀を駆使して天皇の歴史を説明」した。 然し戦後は一転して「天皇は元首でも君主でもなく、内閣の番人またはロボットの ような存在である」とまで言い、さらに「統帥権の独立」の問題に関しても、佐々木惣一博士の反対論に対し、美濃部達吉博士も本来はあってはならないが、これまでの経緯から致し方ないが抑制的であるべきとされた。 然し宮沢氏は戦時中に率先して統帥権の独立を煽ったが、戦後には「統帥権の独立が軍部によるあの気違いじみた戦争を引き起こした」と変節を何度も繰り返された。横田氏は戦後天皇制を批判する本を書いたが、最高裁長官になられた時その本の回収にかかられたという確かな話がある。

質問8

  選挙区割りの法の下の平等とは何か?

「応答」

  一人一票が確かに平等であるが、一票の重さの平等も考えられねばならない。中選挙区制時代は国会の裁量で3票だったが、現在では最高裁は2票が限界としている。一票の重さに差をつけるのには、単純な人口比でいくならば、人口の少ない地域の意見が正当に反映されないからである。

質問9

  相続において嫡出子1に対して婚外子はその半分とすることは違憲であるとの最高裁の判決をどう考えるか?

「応答」

  民法上、相続はまず遺言、次に協議、そしてそれが出来ない時はじめて法定相続になるが、伝統と国民感情そして法律婚が重視されている日本において、14名の全員がそれを否定するのは異常である。戸籍解体、夫婦別姓に波及させないことが大切である。

質問10

  国民に憲法の意識を高める努力を是非お願いしたい。

「応答」

  あらゆる機会を利用してその努力を続けたい。皆様の参加も期待したい。

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