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武藤記念講座(講演会事業)

第1025回武藤記念講座要旨

    2016年12月17日(土)
    於大阪「武藤記念ホール」
    国士舘大学大学院客員教授 
    百地 章氏

 「天皇のご譲位と憲法改正問題」 

セミナー





第一章 天皇のご譲位問題
第1節 NHKのスクープ報道を聞いて
  7月13日のNHKスクープ報道段階での考え方と、8月8日、陛下が直接お言葉を賜った段階では、微妙に考え方が変わった。7月13日夜8時頃 新聞社から「陛下が譲位されたいと仰っている」と聞いて驚いた。陛下は日頃から憲法を遵守すると仰っているし、皇位継承が問題となった時も、国会内閣の判断に任せますと仰って来られました。譲位は皇室典範を改正しなければ出来ない事柄ですから、そんなことを仰る筈はないと思いました。もし陛下がお年を召され体調を崩し、仕事が出来ないのであれば摂政を置かれるのが筋であろうと思い「譲位には反対する」とコメントしました。
第2節 陛下のお言葉を拝聴して
  陛下のお言葉は感動的なものでした。「何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えてきた」「天皇として大切な、国民を思い、国民のために祈るという努めを、人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは、幸せなことでした」「国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました」本当に感動いたしました。その陛下が「公務が完璧に出来なければ、もはや天皇の地位に止まるべきではない」というお考えです。正直そこまで言われなくてもという気持ちはありますが、陛下が仰った以上、陛下のお言葉を忖度申上げ、政治家や国民が自分の問題として考えるということが陛下のご希望です。これに対し真摯に考えるべきだと思います。我が国は立憲君主国で、全て内閣の輔弼に基づいて行動するのが立憲君主ですが、憲法の範囲内で自分の気持ちを慎重に配慮したお言葉で、ギリギリのところで発言されたと理解しております。
第3節 譲位制の問題点
  明治に皇室典範を作る時、過去の歴史を遡った時、退位された方と終身在位された方と半々で譲位もありました。しかしマイナスの方が多かった。例えば権力者が天皇の地位を左右する。藤原氏や平氏が天皇の地位を奪って新しい天皇をたてるようなことがあった。また天皇ご自身が退位、院政を敷いて権力の2重構造を作った。譲位制度を認めた場合、新しい天皇と前の天皇がいらっしゃる。天皇は国民統合の象徴ですが、分裂してしまう恐れがある。したがって譲位制は採るべきではないというのが原則的立場です。
第4節 例外的な御譲位を支持
  しかし超高齢化社会に伴う新たな問題について考えると、ご譲位があり得るのではないかということです。昔はなかったような高齢者特有の病気、体は元気だけれども病床で長らく患われる方もいらっしゃる。これが一般にあるわけで、皇室も例外ではない。もし天皇陛下がそうなった場合、天皇であり続けて欲しいというだけで済むのだろうかということが深刻お言葉を拝聴し少し変わりました。陛下は、超高齢化社会の到来に伴い天皇も従来と同じでよいのかと仰っていると思います。

第二章 有識者会議のヒアリング
第1節 日本国憲法における天皇の役割をどう考えるか。
 (1)日本国憲法の第1条で「天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と書いてある。これは憲法の基本原理をなす国民主権と歴史的・伝統的天皇制度を調和させようとして作られた。人格のある天皇が国民統合の象徴であるということには、消極的役割と積極的役割があります。消極的役割とは、例えば日の丸を通して外国人が日本という国を思い浮かべるという受動的役割です。他方、天皇陛下が各地を行幸される行動を通して、国民が日本国民としての自覚を高め、一体感を高めて行くことは積極的な役割です。
 (2)天皇はご存在すればそれだけで有難い、という保守の方々の意見で、多くの国民が納得できるかは疑問です。積極的な国民統合の象徴であるためには、例えば東日本大震災の時、直接現地に足を運んで被災者を慰める。それによって国民に再び元気を取り戻してもらう。またビデオメッセージでは、国民の揺れ動く心が安心できたと思います。陛下が、皇位行動ができなくなったら皇位に止まるべきではない、とおっしゃられる気持ちが理解できます。そして超高齢化社会の中で、天皇は公的な存在ですから、それが全部公にされてしまう。それで良いのだろうかと思います。むしろ譲位され新しい天皇が就かれる方がよい場合があるということです。
 (3)「神社」界では摂政でいくべきという意見が強くあります。しかし皇学館大学の新田教授が重大な問題提起をしました。天皇の祭祀の問題です。もし天皇が、祭祀ができない状態が長く続いた場合どうなるのかということです。元旦の四方拝、平安時代以降ずっと続いて来たもので天皇しか出来ません。新嘗祭、神様と共に食事をとる神人共食のお祭りはできません。天皇の祭祀を守るといいながら、一方で天皇の祭祀が行われない状態が長く続いた場合、それでよいのかという問題提起です。やはり新しい天皇が即位され、天皇の祭祀を続ける方が望ましいのではないか。例外的に譲位を認めることがあってもよいのではないかということです。
第2節 天皇が御高齢となられた場合、天皇が退位することについてどう考えるのか。
  譲位制の問題点は決して解消したわけではありません。したがって譲位制を否定して来た明治以来の歴史の重みを考えるならば、一時的な国民感情やムードだけで簡単に終身制を否定すべきではないと考えます。しかし高齢化社会の到来に伴い、終身制を維持しつつ、例外的に譲位制を認めることには賛成である、というのが私の基本的な立場です。
第3節 天皇が退位できるようにする場合、どの天皇にも適用できる制度とすべきか。
 (1)終身制を原則とし、例外的に譲位をお認めするための方法としては3つあります。
  @皇室典範とは別の、独立した法律(特別法ないし特別措置法)を制定し、それによって陛下の譲位をお認めす
    る方法
  A皇室典範そのものの改正による譲位の承認
  B皇室典範の中に何らかの根拠規定を置き、それに基づいて特措法を制定する方法
 (2)@は根本的におかしい。憲法違反ではないかという反対意見があります。まず憲法2条では、皇位は世襲であり皇室典範の定めるところにより継承するとなっています。憲法の中で皇室典範という名前を特定している条文はこれだけで、また皇室典範4条では「天皇が崩じた時は、皇嗣が、直ちに即位する」と書いてあり、必ず世襲であって譲位制は禁止するということです。皇室典範が禁止していることを特別法で認めるということはありえない。
 (3)Aについては時間がかかる。特別措置法であれば比較的短時間に改正することは可能ですが、恒久法である皇室典範の中に書いてしまうとことは色々なところに影響するため、慎重にならざるをえない。元法制局長官も、ものすごい時間がかかると言っている。
 (4)Bは、皇室典範の条文の後に付則というのがある。3項までありますので、新たに4項目に「天皇は、4条にかかわらず、皇室典範に関する特別措置法の定めるところにより、譲位することができる」という規定を追加し、それを根拠として、特別措置法で「天皇は、高齢により公務をみずからすることができないときは、その意志に基づき、皇室会議の議を経て、譲位できる。譲位があったときは、皇嗣が直ちに即位する」と例外規定を置けば、広い意味での皇室典範として憲法2条に違反しない状態が作れる。また譲位の条件は、客観的に特定でき、しかも陛下の御意志に基づくものでなければならない。それを最後に皇室会議が判定する。この案を私は提案しております。
第4節 天皇が退位した場合、その御身位や御活動はどうあるべきと考えるか。
  天皇が退位した場合、譲位された以上は、新しい天皇を背後から支える存在になって戴きたい。

第三章 男系の皇統維持のために  
第1節 女系天皇の問題点
   第1節 女系天皇の問題点
 (1)今上陛下は、平成17年の記者会見で「国によって制度も、王室のありかたも異なり、歴史に伴う変遷もみられます。私は日本の皇室については、過去の日本を振り返り、私どもがこれまで経験してきたことをもとに望ましいあり方を求めて行きたいと思っております」と過去の日本の伝統、日本の独自のあり方があるということを強調されておられます。
 (2)イギリスでは、何度も王朝は交代しています。ヨーク朝、テューダー朝、スチュアート朝と女系が誕生するたびに王朝名が変っている。ヨーク朝の最後は女性のエリザベスで、男子のヘンリーと結婚しテューダー王朝が始まる。テューダー王朝の最後が女性のメリーで、スチュアート家のヘンリーと結婚しスチュアート朝が始まる。つまり男系の家系で王朝を呼ぶというのが世界共通のことです。アジアでも中東でも同様です。
 (3)女系を認めた場合、現在の皇室、神武王朝が断絶してしまうということです。また女系を支持している中には皇室廃止の共産党もいます。共産党の学者には、皇室の廃止を正面からできないため、まず女系天皇を誕生させ、後で別の王朝が誕生したのだから正当な天皇ではないという論理で揺さぶりをかけようという人がいる。だから女系天皇は大変危険であるということです。
 (4)皇統譜を見ますと、称徳天皇(48代)から光仁天皇(49代)へは男子がいないということで、舒明天皇(34代)まで8親等130年遡り男系で繋げている。南北朝は12親等140年経って変わっているわけです。3回目は称光天皇(101代)から後花園天皇(102代)ですが、この時は北朝の光厳天皇(北朝1代)まで8等親100年遡り、男系を繋げている。現在の皇統は、後桃園天皇(118代)から7親等前の東山天皇(113代)に遡り、閑院宮家の光格天皇(119代)です。新しい宮家で皇統の危機を脱することができました。このように苦労して男系を続けたわけです。
 (5)女系論者は「男子がいないから女子でいい」と皇室が大切に守って来た皇統、伝統というものを無視しています。男系女系どちらが良いですかというのは全くナンセンスです。また今の憲法の政府見解は、ずっと男系世襲だと言っている。それを突然女系でもいいと言い出したのは小泉内閣の福田官房長官です。有識者会議を作って、女系でもよいと言う答申のお膳立てをしたわけです。憲法学者の多数は男系だと言っております。
第2節 男系維持の施策
 (1)GHQによって無理やり臣籍降下させられた旧宮家の男系男子の方の中から、相応しい方を選んで皇族に迎え皇族を名乗っていただくということが結論です。過去を振り返れば、皇族から臣下になる方法は2つしかなかった。1つは自ら願い出て臣籍へ降下する方法と、もう1つは天皇の命令によって臣籍降下させられる方法です。長い歴史の中でそれ以外の臣籍降下はなかった。
 (2)ところがGHQ占領下において、旧宮家の11宮家51人の方々は、GHQの圧力によって無理やり降下させられた人々です。昭和天皇は反対されました。陛下はお別れの時に「誠に遺憾であり今後とも皇室と親しく交際を」と仰っている。今でも元宮家と皇室は親しい繋がりがある。菊栄親睦会が、旧宮家と皇室の交流の場として開かれている。また当時の加藤宮内次官は旧宮家の方々に「万が一にも皇位を継ぐべき時が来るかもしれないとのご自覚のもとで、身をお慎みになっていただきたい」と仰っている。現在の憲法が施行されたのが昭和22年5月、旧宮家の方々は10月までは皇族で皇位継承権をもっていた方々です。過去の伝統を振り返るならば、先ず男系を維持するための方策を尽くして、それでもだめであれば女系やむなしというのが、我々の正しい選択だと思う。
 (3)119代光格天皇から122代の明治天皇まで綱渡り状態でした。仁孝天皇(120代)は15名のお子様がいらっしゃいましたが成長した男子は1人孝明天皇だけです。孝明天皇(121代)は6名で成長された男子は明治天皇だけでした。明治天皇(122代)は15名で成長した男子は大正天皇(123代)1人でした。まさに綱渡り状態でしたが、その時は4つの宮家、伏見宮家、有栖川宮、閑院宮、桂宮があった。いつでも交代できる状態であったから安泰であった。
 (4)現在、皇室を支えるための柱がない状態です。したがって、旧宮家で相応しい方を探し出して宮家をつくっていくのが喫緊の課題ではないでしょうか。国民が受け入れられる相応しい方に何人か皇族に戻って戴くことが歴史の知恵に学ぶ方法です。歴史的にも臣籍降下された方が天皇になった方としては、陽成天皇(57代)、宇多天皇(59代)がいます。また醍醐天皇(60代)は宇多天皇が臣下になられた時に誕生されたお子様です。その方々が皇族になり天皇になられました。 
 (5)皇族としてお迎えする候補としては、未婚で若い方々がよいのではないかと思います。例えば賀陽家には20歳と18歳の男子の方がいらっしゃる。また東久邇宮家は明治天皇のお子様と昭和天皇のお子様が入っておられる名家中の名家ですが、ここにも男子で6歳と12歳の方がいらっしゃる。悠仁親王が10歳です。こういう方々に早く皇族に入って戴き、皇族に相応しい教育をしていけば、素晴らしい皇族が誕生し、将来明るいものが見えて来ると思っております。

第四章 憲法改正問題
第1節 今、なぜ「憲法改正」が必要か
 (1)日本の憲法は公布されて70年になります。世界には189の憲法がありますが、日本国憲法は古い方から14番目の憲法で、一度も改正されていない。そのため憲法と現実との間にさまざまなギャップが発生しています。昨年3月の時事通信社の世論調査では憲法改正賛成派は73.1%、反対派はわずか18.6%でした。国民が素朴に現実とのギャップを感じているからだと思います。憲法9条と自衛隊の関係は誰がみても正常ではない。きちんとすべきです。一方、環境権とかプライバシー権などは、本当に必要だったら取り入れるというのが自然な感覚だと思います。
 (2)ドイツ憲法は日本より3年遅れでつくられましたが、必要に応じ既に60回改正されている。フランス憲法は24回、インド憲法は100回も改正されている。これは国家国民のために憲法があるからです。憲法のために国家国民がいるのではないということです。だから不都合が生じれば変えるのです。国柄に関することは絶対変えてはいけませんが、政治のルールそのものが不都合になれば変えるのが自然の発想です。
 (3)連合国の占領下で制定された現行憲法は、GHQが日本を弱体化するために作ったということはご存知のとおりです。今の憲法は良いところもあります。しかし根本的には、日本人自身の手でもう一度見直さなければ日本は精神的に独立できないと思っています。安倍首相は「戦後レジームからの脱却」と言いましたが、私なりに解釈すると「精神的レジーム」と「制度的レジーム」があり、「精神的レジーム」の東京裁判史観。日本が侵略国家だという決めつけ史観です。また「制度的なレジーム」は憲法です。憲法を変えなければ精神的に独立することができないと思います。
 (4)現行憲法にはさまざまな欠陥があります。不都合が生じて法律をつくり、解釈を変え対応していましたが、それでは間に合わないようなギャップが生じてきています。
第2節 国家的な危機に備えて「緊急事態条項を!」
 (1)現行憲法の最大の問題点は 緊急事態条項が存在しないことです。大規模テロがあったらどうするか。フランスでは、昨年11月にパリ同時多発テロが起こり、ベルギーでも爆発があった。フィリピンやニューヨークでも今年になって起こっている。幸い日本では今のところテロはありませんが、今年3月首相官邸屋上でドローンが見つかった。もしサリンがあったらどうするか。平成7年3月の地下鉄サリン事件のオウム真理教は、サリンを東京上空から散布する計画だった。自衛隊法には対テロ警護活動規定がありますが、対象は自衛隊の施設と米軍基地だけです。皇居も、首相官邸も国会も原発も対象外です。本当に大丈夫でしょうか。原発は世界的にもテロの一番の対象とされ、アメリカでは軍隊がちゃんと守っている。日本では警察や民間警備会社が守っている。せめて自衛隊法を憲法の中に規定し、対象を拡大しなければ想定外のときは間に合わない。
 (2)平成23年3月11日東日本大震災がありました。菅内閣では、権限も指揮系統もはっきりさせず結局なにも効果的な動きができませんでした。政府は災害対策基本法に基づき「災害緊急事態」を布告し、買い占めを抑え、ガソリンを確保し、被災者に回すことができます。しかし「災害緊急事態」は布告されなかった。菅首相は災害緊急事態の布告は必要なかったと言っていますが、実際にはガソリン不足で被災者を運べず、水や食糧、医療品を供給できず、病院の暖房が止まり、復興庁の報告では約1600人もの方が第二次災害により亡くなった。当時の政府役人は「布告により物資統制ができたはずでは?」の問いに、「法律に書いてあっても憲法で保証された財産権とか、経済取引の自由、職業選択の自由を制限することになる」という趣旨の答弁をしている。憲法を変えなければ動けないということが示されたわけです。
 (3)更に、がれきの処理をめぐる問題です。大津波で家屋がそのまま流され、家財や車 流された。緊急道路をつくらなければならないが、がれきが処理できなかった。それは憲法で保証している「財産権の不可侵」によるものでした。すみやかに危機を乗り切って国民の生命、安全、財産を守るためには緊急事態規定が憲法に必要です。
 (4)道路交通法では何もないときは信号に従っているが、火災や事故が起きたときなど特別の規定で使い分けている。日常生活では、緊急時と普段のときを使い分けています。先進国の中で、国家レベルでそれがない国は日本だけです。1990年以降に103の憲法ができているが全ての憲法に緊急のための規定がある。日本だけはありません。
 (5)憲法改正反対派は、緊急権はヒトラー等の独裁が誕生するとデマを流します。いざという時は、超法規措置でやればよいというがこれこそ無責任です。憲法法律に従って政治をするのが立憲主義です。超法規というのは法律も憲法も無視してよいということです。
 (6)ドイツでは、緊急権を置くため10年ぐらい時間をかけて議論し、議会主義を貫徹することで危機を乗り切るという発想で緊急法をつくっている。連合軍からの独立を回復するためのシンボルとされたのが 国防軍を設置することと、緊急権を確保することです。独立国にふさわしい国になるためのより優れた制度をつくっている。フランスも、憲法に緊急事態の規定がある。大統領は共和国の制度、国の独立、領土の保全等が重大かつ直接脅かされているときには、「状況により必要とされる措置」をとることができる。
 (7)今心配されているのは首都直下型地震が発生した場合です。中央防災会議の中間報告ではマグニチュード7以上の地震が発生した場合、国家の存亡に関わると警告している。 政府は、首都直下型地震が起こる可能性を30年以内に70%とみている。内。いよいよ憲法改正現実味を帯びてきました。閣官房参与の藤井京大教授は8年以内に100%起こると断言している。これはやはり本気になって対策を急がなければならない。国会では憲法審査会がどこから手を付けるか議論していますが、唯一共産党を除く与野党が必要性認めており、憲法改正の第1号となる可能性があると思っています。いよいよ憲法改正が現実味を帯びてきました。
第3節 今こそ憲法改正を
  参議院選挙で念願の衆参両院で改憲勢力が、3分の2を超えたのは戦後70年はじめてです。また歴代総理の中、憲法改正の必要性をあれだけ話しているのは安倍首相がはじめてです。他には本気でやってくれる議員はいない。このチャンスを逃すと次はないと思っています。問題は次の国民投票です。本気で取り組まなければなりません。今「美しい日本の憲法をつくる国民の会」を立ち上げ1000万人の賛同者署名を集めています。現在754万人の署名が集まっています。是非ご参画いただきたい。美しい日本の伝統を子供や孫に伝えていくため、いまこそ憲法改正のために立ち上がる時ではないでしょうか。

質疑応答
「質問1」

  天皇陛下のご譲位で、NHKのリークは誠に遺憾です。先生はどう思われますか。

「応答1」

  陛下のお気持ちを宮内庁、官邸に伝えたいと思ったが上手くいかず、マスコミにリークしたという話があります。リークしたと思われる幹部の西ヶ廣という人が更迭されておりますので、それに類する話はあったと思います。しかし陛下の気持ちがそうだったという事は今日明らかになっています。また宮内庁周辺に女系天皇を推進する人達かいるという事も言われています。


「質問2」

  23日に天皇陛下の誕生日について発表がございます。「内容が歪められる」と民進党が朝日の記者にリークしているという事を聞きますが。いかがでしょうか。

「応答2」

  これについては有識者会議の動きを見守るしかない。私は「高齢化社会の到来に伴う例外的な譲位」ということを、一般法の形をとる特措法ですが、陛下のお気持ちにかなり近いものを提案しています。これは皇室の問題ですから、野党と与党が満場一致で通すような案にしなくてはいけないと思っています。


「質問3」

  改憲の動きについて、自民党議員の動きが究めて鈍いと危惧していますが、如何でしょうか。

「応答3」

  仰る通りです。正面に立って憲法改正の必要性を訴えている方は、安倍さんぐらいです。自民党の幹部が集まるパーティーでも憲法改正の話が出てこない。本気でやってほしいと思っています。安倍さんが先頭になって、強引にでも引っ張ってもらうしかないという現状だと思っています。


「質問4」

  女系では、お婿さんになろうとして男達の戦いが始まる。これを避けようとする手立てと聞いたことがあるのですけれども、先生のご意見は。

「応答4」

  その説は初めてです。世界の王朝、家系は男子でもって名乗るのが事実です。女系が誕生したら、その家系は途絶えたと見られている。そこで男系を続けてほしいということです。


「質問5」

  天皇陛下のご譲位問題はオリンピックが終わって表明された方が、世の中が落ち着いて良かったと思います。また7月13日のNHK報道は、参議院選挙で自民党と公明党の与党が圧勝した3日目で、憲法改正機運が最高潮に高まった時で、一気に改憲への意欲が低下したように思います。更に8月8日は中国漁船が尖閣諸島の接続水域まで侵入し、日本人の危機感に火が付いた矢先で、防衛どころではなくなってしまいました。天皇陛下の政治利用を感じますが、先生はいかが思われますか。

「応答5」

  このスクープ報道が7月13日に行われたタイミングの事は何とも言えません。確かに選挙の後ですからそういう動きがあるのではないかという説もありましたがわかりません。お言葉は官邸と日程を決めてやっていますから、中国が来た時に合わせてやるということはありえないことです。


「質問6」

  「美しい日本の憲法を作る国民の会」のタウンミーティングで、衆議院の先生が「多くの人達を取り込む為、国民に馴染んでいる自衛隊の名称が良いと思う」と仰いました。憲法に自衛隊は軍または国防軍と明示しなくても、国際法上保護されるのでしょうか。

「応答6」

  私は「9条1項の平和主義の堅持、侵略戦争の放棄は絶対守る必要がある。日本から戦争してはいけない。しかし外国から攻められた場合、今の自衛隊では正当防衛の場合しか武器は使えず対応出来ないから軍隊とすべきだ」と言っています。そのため憲法9条2項を改正し軍隊とすべきと言っていますが、最近は更に一歩譲って、自衛隊を憲法に位置付けるのでもいいと思い始めています。なんとか憲法改正したいという思いからです。新しく3項を置き、「前項にかかわらず自衛隊はこれを保持する」。この一言を入れ、自衛隊を憲法に位置付ける事が大事と考えています。かなり柔軟に考えるようになりました。現状では公明党が反対です。3分2を得るためには、公明党も加憲と言っていますから、3項を加える可能性も排除せず、何とか第一歩を踏み出したいと思っています。


「質問7」

  天皇陛下のご譲位の問題で、宮内庁がもっと陛下の体を考えてスケジュールの配慮とか出来なかったのかなと思うのですが。

「応答7」

  私も宮内庁の怠慢があったと思っています。しかし一方で、陛下はともかく「公平」と仰っている。昭和天皇の時は、50歳の時から公務を減らされています。今上陛下は逆に増えています。理由は、一つは大規模災害が続出し、被災地をお見舞いするケースが増えてきた。それから、冷戦終結後たくさんの小さな国が出来、外国使節を謁見される機会も増えたらしい。更に終戦50年、60年、70年。陛下ご自身が戦没者慰霊のために現地で慰霊したいと仰る。そういう事で本当にやむを得ず広がってきた部分もあります。その上で、陛下自身がこれ以上は体力的にも難しいと仰っている。しかもこの話は天皇陛下と皇太子殿下と秋篠宮様三人でずっと5〜6年前から相談されているわけです。皇位が秋篠宮悠仁親王に伝わるまでの道筋を考えながら、色々と配慮していると思われますから、ご公務軽減では解決策にならないというのが、陛下のお考えだと思います。また陛下ご自身が健康について不安をお持ちの様子です。色んなご発言でも、物忘れとかがあります。母上さまが25年間そういう病気を患ったりしています。そういうことも影響を与えるかもしれません。よくよくのところで発言されたことですから、公務の軽減では解決策にはならないと思っております。


「質問8」

  昭和天皇が摂政の時期、四方拝や新嘗祭が行われなかったのでしょうか。

「応答8」

  摂政制度が本当に完成した制度かというと疑問があります。推古天皇の時の聖徳太子は天皇陛下が女帝で、お元気なときに摂政されました。平安時代になると藤原摂関家が、7歳〜8歳の天皇を擁立し、実際の実権を握る摂政もいました。明治にできた摂政はそれとは必ずしも同じではない。陛下がすでに精神的、身体的重患で、自らの意思能力がないような状態のときに置かれるものです。大正天皇の時、摂政を置かれましたが、かなり抵抗され、天皇行事の神璽を離さず、昭和天皇も大変そのことで苦悩された事も伝わっています。また京大の大石教授は、制度的に色々問題があり、昭和天皇は皇太子としてのお仕事と摂政としてのお仕事の使いわけで相当苦労されたと言われています。また、高齢のため摂政を置くことは規定がありません。更に皇室祭祀の一番大事な部分は天皇しかできませんので、欠落していいのかと言う問題があります。


「質問9」

  日本国憲法96条で憲法改正には3分の2が必要ですが、これは公序良俗に反して違反ではないかと思いますがいかがでしょうか。また国際法違反ではないのでしょうか。

「応答9」

  憲法は主権者国民が判断して決めるものです。それを過半数にするか、3分の2にするかは主権者の国民が決めるのですから、これを憲法違反とはいえません。なおGHQが現行憲法を押し付け、簡単に変えられないようにした意図が働いたということは言われております。憲法改正に反対の人達が、96条の改正は立憲主義違反だとか裏口入学だというのは、ただのレッテルはりで、デマです。したがって、デマが拡がる前に、我々が正論を広げていくことが大事だと思っております。



以上は、「百地 章進氏の講演」を國民會館が要約・編集したものであり、文章の全責任は当會館が負うものです。



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