ホーム > 國民會館について> 武藤会長「金言」

                     

武藤会長「金言」

2018年1月25日 金言(第66号)
『高校歴史教科書用語についての提言を批判する』



■第一章「高大連携歴史教育研究会の提案」

第1節「研究会が新たな歴史用語を発表」
  高等学校や大学の教員でつくる高大連携歴史教育研究会なる組織があり、この組織は、平成2年に高校、大学の教員達の呼びかけにより作られたもので、現在の暗記を中心とした歴史の授業から、歴史的な思考力の育成や歴史そのものを学ぶ楽しさを実感出来るような授業への転換を目指している。生徒達が議論する活動を重視した次期学習指導要綱を踏まえて、教科書本文に載せ、更に入試においても知識として問う基礎用語として、日本史1664語と世界史1643語を選択して、新たに「歴史用語精選案」を昨年12月15日に発表した。
第2節「内容は現行歴史用語の半減」
  精選案においては、現行の約3500語からほぼ半減する程度に迄絞られたのである。この案を発表した研究会によると、高校の日本史と世界史の主な教科書に収録されている用語は現在3500語から3800語となっており、現状においては、大学の入学試験で教科書に記載されていない用語が出題されるたびに、次の教科書が改訂される時点で追加される形で増加していくため現状の数字は実に1950年代の3倍近くになっている。
第3節「教科書編集に強い影響をもつ研究会」
  今回示された高校歴史用語精選案を発表した研究会には、高校歴史教科書の執筆者や編集協力者20人以上が呼びかけ人として参加しており、関係する高校歴史教科書は発行会社6社が名を連ねており、これは全発行会社7社であるのでほとんど全部が網羅されている。それだけに精選案は教科書の編集に一定以上の強い影響力を持つものといって差し支えない。

■第二章「次期学習指導要綱に反する今回の提言」

第1節「研究会が精選した主な歴史用語とその問題点」
  産経新聞の記事によると研究会の精選した(新しく追加したもの、あるいは省略したもの)の主な用語は下記の通りである。
1.今迄記載されていない用語で新たに追加されたもの
  • @厩戸王(聖徳太子)。飛鳥時代当時の中国隋に対し対等な日本の存在を知らしめた、いわば日本という国の柱   を作った聖徳太子が不掲載であったとは驚きである。しかも今回掲載するに当たっても何故堂々と聖徳太子と   しないのか疑問である。
  • A足利尊氏。弟の足利直義の記載はある。尊氏と並んでなるほど直義の存在は大きかったが、尊氏がいなければ   室町幕府は開かれず室町時代は始まらない。
  • B西郷隆盛。明治維新の最大の功労者で無かったとは訳がわからない。今年のNHKの大河ドラマ主人公が西郷な   のであわてて迎合したのであろうか。
  • C関ケ原の戦い。徳川家康が覇権を確立した天下分け目の戦いが不掲載とは驚きである。
  • Dニュートン。万有引力の発見者というだけではなく、彼は科学者として同時代における抜きんでた存在であっ   た。片手落ちもはなはだしい。
  • E南京大虐殺、従軍慰安婦。中学の教科書からも消えていたものが突然復活 してきた。云うまでもなく両事項と   も真実とは程遠い捏造である。後に詳しく述べるが、高大連携歴史教育研究会のメンバーの大半は自虐史観を信   奉する左翼分子である。このような連中からならこのような提案があってもおかしくない。
    2.現行の教科書から掲載が外された用語
  • @蘇我馬子。良い悪い、好き嫌いは別にして飛鳥時代を代表する大政治家である。彼を外すと後の大化の改新も   語れないし、聖徳太子、推古天皇との関係をどう説明するのか。
  • A楠木正成。足利尊氏が復活して孤軍奮闘した南朝の中心が何故省かれるのか。
  • B上杉謙信、武田信玄。両将を外してどうやって戦国時代を語るのか。川中島の戦いはどうなるのか、上杉、武   田ともに天下を取った可能性は十分にあった。
  • C坂本龍馬。司馬遼太郎により彼は若干美化されたきらいがないでもないが、彼の存在がなかったら明治の新時   代の到来が、列国の干渉を排して、このように早く訪れることはなかった。龍馬を除外するなど近代史を否定す   るものである。 
  • D桶狭間の戦い。尾張の弱小大名織田信長が、戦国大名の雄駿河の今川義元を桶狭間(田楽狭間ともいう)に奇   襲をかけ、一瞬の隙をついて義元を討ち取った戦国時代における画期的な戦いで、信長はその後天下布武へと進   んでいった。このような画期的な戦いを外すなどこれは歴史の否定と考えるが如何であろうか。
  • Eクレオパトラ。彼女の鼻がもう少し低ければ歴史は変わっていたであろうと云われている傾国の美女であるが   、ローマが帝国となるきっかけとなったことについては、彼女の存在なしでは考えられない。
  • Fガリレオ・ガリレイ。コペルニクスの地動説を更に発展させ、天体観測に望遠鏡を取り入れ,太陽の黒点を発   見するなどその他数々の画期的な発見を行なった。
    第2節「教師の役割は何か」
      これらの歴史的重要事項が外されたのは、この研究会が教科書の用語を減らすことによって先に述べたように暗記中心の歴史学習から歴史的な思考力の育成を図ることを主眼点とし、また約4000語の学習を生徒に徹底することは難しいと主張している。しかし、私見ではあるが歴史の面白さは多数の登場人物を通じて、その歴史的背景を理解していくことにあると思う。登場人物が多すぎてとても生徒に教えられないなどとは歴史教師として失格である。例えが適切かどうかわからないが[地理]を教えるのに地名が多すぎて授業が出来ないと云っているのと同じではないか。
    第3節「研究会は左翼思想に偏向」
      この研究会メンバーの経歴を調べてみるとその思想的な方向がよくわかる。会長の油井大三郎東京大学名誉教授はアメリカ現代史の専門家らしいが、典型的な岩波書店「世界」派の学者で朝鮮戦争は北朝鮮による侵略戦争ではなく、北朝鮮による解放戦争であったと主張。最近の安倍内閣における集団的自衛権が可能という憲法解釈変更にも反対している。彼の左翼的言動については枚挙にいとまがないが、彼は徹底的な反米左翼主義者である。彼は現在の歴史教科書の基礎用語は多すぎると主張している反面「従軍慰安婦」「南京大虐殺」等の採用を進めており用語の選定基準に恣意性があると問題視されている。油井氏はかって「未完の占領改革」なる本を書き、この中で、
  • @天皇制の廃止 
  • A共産主義中国への服従 
  • Bアジア諸国への謝罪と賠償 という改革が未完なので,これ等を進めるべきであると主張した。これらの考え   は、そのままコミンテルンの主張である。従来教育界の反日勢力の本尊は日教組といわれてきたが油井氏のよう   な純反日勢力の本尊が大学内に鎮座していて高校教育の反日を扇動、支配していることは明らかである。
    このとんでもない左翼の会長のもとに5名の副会長がいる。すなわち
  • @ 磯谷正行(愛知県立岡崎高校教頭)
  • A 勝山元照(神戸大学附属中等教育学校副校長) この両者は教育最前線にいる実務家で目立った左翼的言動。行   動は調べた範囲ではないが、それだけに油井会長べったりと想像する。
  • B 君島和彦(東京学芸大学名誉教授)
      この人は有名な家永教科書裁判の原告側証人の主要メンバーで731部隊について証言した保守派の秦郁彦氏を   こき下ろした過去がありこの件で世間から猛烈な顰蹙をかった。また2008年には中学生向け新学習要領解説   書で竹島が日本固有の領土と書き込まれた部分を削除して韓国の領土として韓国との関係を復活させるべきであ   るというコラムを朝日新聞に寄稿して、その功かどうかしらないが翌2009年にソウル大学の歴史教育科の正   教授におさまった。誠に売国奴的行為ではないか。その他の副会長は
  • C 小浜正子。1953年生まれで日大教授、ジェンダー史の研究家であるが当然思想的には左と思われる。
  • D 桃木至朗。1955年生まれ、大阪大学教授でベトナム中近世史を中心と する東南アジア及びアジア史の研究   家で大阪大学歴史教育研究会の代表、思想的には詳しくわからないが、岩波書店から何冊かの書籍を発行してい   るのでおよそ想像がつく。
    このメンバーから推し量るならば研究会の運営についてのイニシアチブは 油井会長が握っていることは明白である。油井氏は、先にも述べたように全くの朝日新聞寄りの左翼思想の人物であり、その下の副会長もいずれも左翼思想の持ち主かそのシンパであることは明白である。

    ■第三章「充実すべき日本の歴史教育」

    第1節「研究会の短絡的な見解」
      さて、いささか前に戻るが、今回の研究会の主張を改めて述べると、こうである。すなわち大学入試で歴史の細かい用語の出題が成されて高校の授業が暗記中心となっているのは問題であるとして「とにかく用語が多すぎるので先に述べたように用語を3500語程度から約半分に減らすべきである」という主張である。そうだからといって上杉謙信や武田信玄、坂本龍馬まで除く一方歴史的に未だ真相が明らかになっていない南京虐殺事件や朝日新聞の捏造から端を発した韓国の慰安婦などが新しく掲載するのは全く矛盾したやり方ではないだろうか。彼らの主張によれば高校の授業時間数を考えた時、きちんと教えられる用語は2000語と主張しており、このため歴史の流れを理解するためにはこの程度で十分だという見解である。
    第2節「研究会見解に対する反論」
      私は、歴史の面白さは歴史に登場する数々の登場人物にあると思っている。幾つか例をあげることが可能であるが、ある意味で歴史とは、ある時代に現れた天才によってその多くがつくられたのではないかと思っている。
      世界史を繙くとギリシャアテネの英雄テミストクレス、哲学者ソクラテス、プラトン、アリストテレスその弟子アレクサンドル大王、次のローマの時代に入るとローマ勃興期におけるポエニ戦役でのカルタゴの英雄ハンニバル、それに対抗してローマの礎を築いたスキピオ、そしてジュリアス・シーザー、そのあとを継いでローマ帝国を造ったオクタビアヌス、キリスト教を国教としてローマ帝国の全盛期を到来させたコンスタンチン大帝、そしてキリスト教に連なる政治、経済、文化に関係する人物など、また中世に入ると西ローマ帝国滅亡後神聖ローマ帝国に君臨したカール大帝、そしてルネッサンス時代に現れた優れた政治家、芸術家などを語らずして歴史を理解できないと思っている。また近世に入るとフランス革命の中からナポレオンが登場し良い悪いは別にして歴史を彩ったのであった。
      このように、その時代に現れた多士済々の人物を学ぶことにより、初めて歴史そのものを理解することができるのではなかろうか。
      一方、日本の歴史についても同様である。大体聖徳太子が従来何故教科書に記載がないことが全くおかしい。これは聖徳太子が、中国の隋に対し小野妹子を遣わし「日出ずるところの天子日没するところの天子に書を呈する」として日本国の存在を明らかにし、その名を、隋国に鳴り響かせた事実を現在の共産中国は快く思っていないことを慮ったからであるが、その太子をわざわざ間違いではないが、中国が聖徳太子の名前を嫌うため中国に遜って厩戸王にしたのではないのかと疑いを持つところである。自虐史観の最たるものである。その他詳細に見ないとわからないが、私から見るならば今回外すといわれている蘇我馬子、楠木正成、上杉謙信、武田信玄、坂本龍馬、桶狭間の戦い、クレオパトラ、ガリレオについて私は反対である。私が思うにこの程度のことを知っているのは日本人としての常識の範囲であり、この程度のことを生徒に教えられないのは教師の不勉強いや文科省の無能力さにあると思う。むしろ研究会の考えによれば大学入試のたびに新しい用語が出題され,そのたび翌年からの教科書において用語を増やしてきた結果が現状の3400語から3800語で、これを半減して困るのは受験生となる生徒ではなかろうか。今後入試のたびに新しく出るものを加えていくのであろうか。深く調べていないので、何ともいえないがこのような処置は「ゆとり教育」の残骸といえる。
      今回訳のわからない、しかし教科書編集に大きな影響力を持つ研究会がどのような意図を持ちこのような考えを発表したかは私には理解できないと同時にこのような考え方により新たな教科書が出来るならば我が国の将来に大きな危惧を持つものである。
    第3節「日本の歴史にもっと深く取り組むべし」
      最後に今回のテーマと直接大きな関係はないが、今の一部社会人を含めて学生は日本の歴史について余りにも無知である。これはいろいろと理由はある。特に現代史の部分は時間切れになっていることもあるが、教える教師も私から見れば極めて勉強不足ではないかと考えている。例えば日本の歴史を学ぶ時、私は日本神話につてもっと深く取り組むべきと思う。神話なんて事実じゃないよと一蹴する人もいるが、日本神話は古事記、日本書紀に記載されており、戦後これらは天皇家の正当性を裏付けるためのでたらめなもので古事記の作者太安万侶は存在しなかったと言いふらされていた。ところが1979年奈良市の茶畑から彼の墓が発見され正確な没年を記した墓誌が出土し、彼の存在は証明された。日本神話について書くと長くなるので、これにつては別の機会に譲りたい。

                                                                                                                                 以上
      皆様の忌憚のない御感想、御意見をお待ちしております。

                                                   ( 本稿は武藤治太会長の書下ろしです。)

  • 武藤会長「金言」

    お問い合わせ

    イベント情報や館内のご利用についてなど、お気軽にお問い合わせください。

    ※メールソフトが開きます

    お問い合わせ